カーブフィッティング

競馬や株を予想するソフトで時に200倍とか300倍とかとてつもない投資回収率を達成するソフトが出てきたりする。


が、たいていは翌年にさんざんな結果になったりする。


カーブフィッティングとは、規則性が見出される事象に予測を近づける手法のことである。


主に関数のパラメータなどを学習的に獲得していくプロセスを指す。




ところが、カーブフィッティングには大きな落とし穴がある。
それは、規則性が必ずしも保証されないシステムでカーブフィッティングをやりすぎると過去のデータについては完璧な解答を示しても、未来予測はまったくあたらないシステムになってしまうことが往々にしてあるということである。


冒頭に出てきたソフトが未来予想をうまくこなしているのは過去のデータを上手に活用してカーブフィッティングがうまくいき予測が的中したのかも知れないし、あるいは支離滅裂なプログラムだったのかもしれない、問題は「結果」の方が「たまたま」あまたある予想ソフトの中のひとつに偶然カーブフィッティングしてしまっただけ、ということなのだ。


だから、翌年からまったく予想が当たらないのは当然のことなのである。


実はソフトウェアだけがこういうワナに陥るだけではない。
われわれ人間も人ぞれぞれクセを持ち、「一時の事象」についてある特定の人だけが非常に力を発揮してしまうことがある。
そういうことがあれば、人はだれでも自分は他の人とは違うと思ってしまう。


しかし、残念ながら、たまたまカーブフィッティングが起こってしまっただけだったのだ。


特に、ギャンブルや商売など未来予測が難しいとされる事象について、未来予測が難しいとされるからこそ、人はプログラムや知恵や勘や神を頼んでなんとか未来を予測し、予測しきれない人たちを出し抜こうとする。


そして往々にしてカーブフィッティングのワナに陥ってしまうのだ。


ソフトウェアがカーブフィッティングのワナに陥らないための方策というのも、もちろんあって、そしてそれは人間にも適用できるはずである。


1.予測を裏切られた場合のリスクヘッジを必ず行う


この対処は最悪である。そもそも、予測が当たらないかも知れないロジックで予測をすることが間違っているのに、予測が外れた場合のヘッジにさらに労力を裂くのは馬鹿げている。
パラシュートを背負いながら目隠しで丸木橋を渡るようなもので、目的が失われている。


2.複数の予測方法を常に用意し、すべてを賭けることはしない


最近はこういうアプローチが多いのではないかと思う。いろいろなタイプの橋を用意しておき、同時に渡るのである。実に合理的だ。


自分が調子がいいときほど人の意見を聞きなさい、という古めかしい諫言はまさにこのことを言っているのである。