わたしが時事問題を扱わない理由


ここにサルがいる。
このサルは実に下品で、行儀が悪く、昨日も自分の寝場所で粗相をした・・・・。


わたしは時事問題を語るのは、実は、好きである。
ヒマな会社経営者の必須科目でもあるが、わたしにとっては得意科目ですらある。
だが、ここでは時事問題を極力扱わないようにしている。


それは、しょせん人は真実を見極めることはできない、と思っていることが主な原因だ。


ところが、時事問題を扱うページというのが、それぞれが正しいことを見抜いていること前提、というムードで書かれている。
むろん、このページもさまざまなことが書かれているし、口調はさも「これが真理」のツラを下げているので、言えたぎりではないが、時事問題というのはあるひとつの事象を見つめて、それぞれで「これが真理」とやりあうわけだが、結局のところ、趨勢の見方と同じ見方をする意見が次々出てきてもおもしろくないし、だからといって異端な意見が出たとしても、それは主流の意見があればこその逆指標から捏造されただけの見識で、最初から主流の意見がなかったら思いもつかなかっただろうバーカといいたくなるようなことばかりだ。
しかも、それでもそもそも見ているものを全員が同じ勘違いをしていることだっていくらでもあるのだ。
たとえば、今回の事件だって、すべてネット上で捏造されたサイバーテロだとしても、それを覆す有力な証拠などなにもない。
われわれが「現地」と言っている場所はそもそもどこか。
われわれが「彼ら」と言っているのはそもそも誰か。
間違いのない証拠があったとしても、それを全員が誤読することはいくらでもありうるのだ。


極端な例をあげよう。
今回貼り付けたこの下品なサルの映像だが、実は「現アメリカ大統領ジョージ・ブッシュ」だと言い切る人がたくさんいるのだ。
目の前にこれだけ明確な画像が存在しても、人はどうしても事実を見破ることができない。これは、目の錯覚ではなく、脳の限界なのだ。
どうしても納得できない人はこの画像をカーソルで選択してみて欲しい。(Ctrl + A)わたしが現職大統領を誹謗しているわけではないことがわかるだろう。
この画像は確かに平時も見えているはずなのだが、人の脳はそれを正しく解釈することができないのだ。
いずれにしても、これはサルだ、大統領だと議論してもどちらも正解なのだから、議論することにたいした意味などない。(また相互に認め合うことが必ずしも正解だとも思わない、隠れた画像は更にどのようにも見えるだろう)


実際のところ、真実の解釈などどうでもいいことで、本当はそこから何を学ぶかだけが個人にとっては重要なのだ。
したがって、時事問題でもある程度抽象化されればおもしろくなるのだが、昨日の記事のように生々しいものを扱うとそれはあまりにレアケースすぎて学習しても使い道がないことになる。
前にも書いたが、ニュースになるようなことは、そもそも異質だからニュースになるにすぎず、情報として使い道はない、のだ。
今回の件では、さまざまな人を巻き込みながら当事者を含めて誰一人として決着を予想できない、人々の思惑と行動の連鎖からなる事態の予測不可能性、といった抽象化くらいしか思いつかない。こんなトピックはすでに数回ここで取り上げてある。
あるいは、どうでもいい情報がたくさん錯綜すると解釈を求めるあまり誤読の連鎖が起こる、などもありうるかもしれないが、事実がわかるまでは仮説にすぎない。


実はもうひとつ、ここで時事問題を扱わないことの大きな理由がある。
これこそ実は内緒にしておきたかったことだが、わたしには、ひとつ恥ずべき悪癖があるのだ。


それは、自分の書いたものを何度でも読む、ことだ。
何も書くネタがないときなど、インデックスからおもしろそうな記事を呼び出してついつい読みふけってしまうのだ。
実は、左側のインデックスはそのためにあるのだ。
もちろん、そんな時は「おれっていいこと書くなー」というナルシズムに頭の先までずぶずぶと浸っているのだ。


そんなとき、旬を過ぎた時事問題など、使ったティッシュほどの値打ちもない、のだ。


そんな時事問題が自分の書いたものからゾロゾロでてきたら、せっかくの背徳気分も台無しである。そんなものを自慢げにインデックスしておくメンタリティはとても持ち合わせていないのだ。
もちろん、それは自分が自分の書いたものを読むという、ウンコを食うに等しい悲しい悪癖があるからこその弊害なので、すべての時事問題を扱うサイトを揶揄するものではない。




追記。
今回の画像は実はここからのパクリである。
http://www.hirax.net/index.html
お勧めである。
サルの画像は
「全てを選ぶ」と見えないものが見えてくる - 魔法のショートカットは"Ctrl + A" - (2003.03.31)
からの直リンクである。ここのシステムでは画像の画素を抜いて圧縮してしまうため、サルが出てこないことが判明したためやむを得ず直リンクをさせていただいた。リンク元のご理解を願う。