経営についての考察2

しばらくつらい内容になりそうだ。
ちょっと物を知っているプログラマにも、ちょっと経営を知っている経営者にもだるい内容になるだろう。
あまりに明らかで、あまりに平易な内容になる予定だからだ。
それにどんな意味があるかはわたしにもよくわからない。
例によって無駄思考の顕在化程度のノリで書く。
ただ、わたしはいつも、あまりに明らかで、あまりに平易なものの考え方で会社を経営してきた。それでまぁまぁうまくいっている。だからそれをまとめてみたいのだ。


◎まずI/Oを検討せよ


会社もプログラム同様システムだ。
システムには必ずI/Oが備わっていなければならず、そして、目的が達成されなければならない。
INPUTとOUTPUTこれをあわせてI/O(アイオー)という。


なにが入ったとき、なにが出てくるのか。


システム(会社)の中身をブラックボックスに置き換えてみよう。中で阿鼻叫喚のすったもんだが行われていようといまいと、利用者にとってすべては適切なI/Oが備わっていて、それが目的に合致するかどうかだけが重要だ。端末の向こうでサーバーがどんなことをやっていても関係ない。ただ、われわれは何かをINPUTしたとき、期待するOUTPUTが出てくることだけを望むのだ。
長い時間をかけて入力して「登録ボタン」を押したのに、「サーバーがみつかりません」という表示とともに書いたものがすべて消えるようなシステムは誰だって望まない。


プログラムを書くときは、利用者がなにを入力し、最終的になにが出てくるべきなのかを真っ先にリサーチする。
もちろん、そもそもそんなOUTPUTが必要かどうかも徹底的に議論される。利用を想定する人と徹底的に話し合いを行うのだ。
そして、システムをブラックボックスに置き換えてINとOUTを丁寧に図解していく。


しかし、会社が利用者を相手にそこまで丁寧に打ち合わせをすることはあまりない。発注方法も一方的な手順や書式を押し付け、出荷時期も入金方法も指定する。すべて中身を優先してI/Oを最適化しようと考える。これは間違いだ。あまつさえ、工場を見せて「苦節十年」と自慢する。こんな経営者はさっさと死ねばいい。


プログラムがなぜ真っ先にINPUTとOUTPUTを打ち合わせなければならないかは簡単だ。「プログラムは使われることが前提」だとプログラマは知っているからだ。


では、「会社は使われることが前提」だと知っている経営者は何人いるだろうか?


INPUTとOUTPUTの考察はまだまだ続く。


例えば、あるINPUTを受けるために最適なデバイスは何か?キーボードによるコマンド入力なのか、マウスによるクリックなのか、マイクによる音声入力なのか、時代にあわせて先端の技術を取り入れながら、必ず「最適化」することを怠らないことが重要だ。INPUTの最適な代替方法は常に念頭になければならない。


また、ある会社のINPUTがほとんど電話ばかりだとしても、電話をかけるに至る経路は様々だ。広告を見て電話をかけたり、電話帳を見て電話をかけたり、会社に紹介されたり、記事で見たり、クチコミで知ったり、商工会議所に紹介されたり、といった具合だ。これをわたしはINPUTチャンネルと呼んだりしているが、ことのほか他人や他の組織を経由するINPUTチャンネルは重要だ。それは持続性が高くコストが安い。ポジティブフィードバックを発生させるには、小さなきっかけが小さな反応を生み、小さな反応がつぎつぎに反応を生み出していかなければならない。収穫逓増を引き起こすのは、INPUTチャンネルとOUTPUTチャンネルだけなのだ。
最新デバイスを検討するのと同じくらい、いつも新しいチャンネルの開拓に心を砕いていなければならい。


「会社の玄関を見ればその会社がわかる」知った顔でほざくコンサルは殴ってやればよい。それは起動画面を見ればソフトの出来がわかるというゲーム評論家と同等だ。ゲームソフトのヒット作で起動画面が中身より大事だったことは一度たりともないのだ。しかし、われわれはゲームの中身など実は見たことはない。中身はブラックボックスで中身に見えるのはすべてOUTPUTなのだ。客にもゲーマーにも目的がある。それを満足させるのがOUTPUTであり、なおかつ、次のINPUTのきっかけを作るのもOUTPUTなのである。