経営についての考察1

あるプログラマがわたしに言った。
「すべての経営者はシステム工学を学ぶべきだ」
プログラマに仕事を発注する経営者が、会社のシステムをまったく(システム工学的視野で)把握していない。したがって、生産されるソフトウェアに会社のプロセス部分を内蔵したものはほとんどない。
例えば、注文を受け発注をするソフトがあるが、注文をうけた商品を検索するソフトと、発注する商品を検索するソフトと、伝票を記録するソフトがセットになっているだけ、というものが多い。なぜなら、注文を受けたあと発注に至るプロセスを人間まかせにするからだ。しかし、そのプロセスこそソフト化すべき部分なのだ。
ほとんどの会社経営者は、プロセスをソフト化する、という思考方法を持っていない。


わたしは運のいいことに、今の仕事を始めてしばらくしてプログラムを独力で習得した。当時のマシンはメモリもCPUクロックも限界が低く、ちょっとしたプログラムを書いただけでうんともすんとも言わなくなる。ただ単にプログラムを知っている、というだけではほとんど何も作ることはできなかった。いかにプログラムに効率よく仕事をさせるかというプログラミングテクニックの初歩の初歩から学ばなければならなかった。
それはいかに効率よく会社に仕事をさせるか、とほとんど同じテクニックなのだ。


いかに少量のリソースで最大の仕事をするか、それがシステム工学のすべてだと言っていい。
そして、それは会社というシステムを動かす上でも同じように応用できるし、結果は歴然と現れる。
これから数日、そんなことをいろいろ思いつきで書く予定である。


しかし、何よりまず先にはっきりしていることがある。


ついこの間もITセミナーなるもので講演してきたのだが。
そもそもITセミナーに来ている人にITの効用など無駄な話である。ITを社内に定着させるノウハウも、そんなノウハウは定着するまでのプロセスにすぎないからコンサルでも呼べばいい話なのである。


ITとは、あるいは、会社の経営とは、すべて夢を達成するものでなければならないのだ。
ITにしろ経営革新にしろ、商品開発にしろ、すべてのハードルを乗り越えるためには、苦難をやりすごすちょっとの知恵と、苦難をものともしない大きな夢が必要なのだ。


セミナー出席者に必要だったのは、後者だと思ったのだ。
夢の見方も知らないヤツに会社を経営する資格なし。