○下がり続ける男運

わたしのイトコに男運を下げつづけているのがいる。
見た目は可愛い。
かなり可愛いといっていい。


しかし、つき合っている男はアフォバッカである。
しかも、別れるたびに酷くなる。
彼女を見ていると、男運というものが、見えざる神の右手のなせる業でも偶然でもなく、ある法則に乗っ取った必然で下がっていくことがよくわかる。


男運を下げつづける女の特徴は次の通り


1.世話好き
2.おとなしめ
3.わりとカワイめ
4.わがまま言わない
5.辛抱強い


実は、いい女なのである。
これほどの資質を持ちながら、男街道まっしぐらに下りつづける理由はなぜか


6.情が深い


一種の恋愛中毒にかかりやすいというのもある。


これらの条件がそろうと、男から見るとこうなる。


世話好きでぜいたくも言わず、情が深いので最初は有頂天になった男もすぐに相手を見くびる。一回や二回の浮気も謝ると許してくれるので調子に乗る。ほっといても向こうからいろいろ世話を焼いてくれるので、だんだん気がそれていく。


もっとも大きな特徴は、「イザとなると必ず折れる」ということだ。


痴話喧嘩で別れるかどうかという雰囲気になると、すぐ降参してしまう。
根本的に意気地がない。


それで、降参しつづけていると、相手がほんとうは自分の事を好きかどうかまったくわからなくなってくる。それでも、それをあまり疑問に思わない。
普通なら、とっくに破局している状況でもだらだらと続いてしまい、何度でもこちらから振ってやる機会はあるのに、それを見逃して必ず振られるまでしがみついてしまう。
そのうち、振られることがクセになり、振られる恐怖のためによけいに下手に出て降参しつづけてしまう。


しかも、振られてもそこそこかわいいので言い寄ってくる男に切れ目はない。
たまたま男に夢中の間は他の男に目もくれないが、男がいなくなるとちょいとかまってくれる男にすぐ降参する。振られて落ち込んでいるときに楽しくしてくれるとすぐに参ってしまう。


こういう振られ連鎖は男運を徹底的に下げていく。


だいたい、こういうきっかけを作ってくる男はろくでなしが多いのに、こういう男ばかりにおもしろういようにひっかかる。完全に受身になってしまっていて、ちょっかいかけることが得意な男の格好の標的になりやすいからだ。


自己主張や好き嫌いがはっきりしていたり、恋愛以外にやることがあれば、底の浅い男などすぐ見分けがつくのだが、こういうふうに受身に入ってしまうとテリトリーに入ってくるのはナンパ師ばかりだ。


相手を惚れさせても無頓着に一人でいられれば、いろんな男を公平にみることもできるが、とにかく自分をかまってくれる順に「勝手にランキングを作ってしまう」ので、調子のいい馬鹿屋郎がすぐにトップに上り詰めてしまう。これが多少難ありの女なら、純情素朴でもてそうもない「いいひと」タイプが頑固にランキングを登ってくることもあり、偶然が重なれば安定したカップルにもなれる。
下がりきった男運の終着駅は案外いい男ということもある。


しかし、なまじかわいいとそんな男はランキングの底辺で現れては消えていく。
とてもトップまではやってこれないのだ。


もしも、やたらと短期間にどんどん相手に裏切られて、男運が下がってきている自覚があるなら、相手を好きになるまえに自分の恋愛パターンと恋愛妄想をよくよく考えてみた方がいい。


だいたい、この世でもっとも安定したカップルは


恋愛中毒馬鹿女と性欲単細胞男


である。これにかなうラブラブカップルはいない。


ピンク色の妄想の中で一生愛し合ったりできるのはこれだ。


わたしに言わせれば、これぞ「馬鹿の共食い」で、こういう組み合わせで少しでも恋愛中毒馬鹿女と性欲単細胞男の「ひとりもの」が減ってくれれば、世間の空気もすがすがしくなるというものだ。


つまり、恋愛の長さで比べれば、最高位がそいつらの独占市場なのである。


くだらぬ夢を見て、一人身を嘆く必要などどこにもない。


一人身万歳である。


知性と教養と自我とセンスがある男と女は


恋の終わりをわきまえている。




そして、長く続いても、短く終っても


その価値は、中身であることを知っている。


人生となにもかわらない。