別れの風景

女性は別れを持ち出すときも案外スパッと持ち出し、気持ちがいい。


逆に男は、庇護者のメンタリティが邪魔してかえって状況を悪くすることが多い。


別れることへの罪悪感でたった一言多くなるとこうなる。


『ごめん。・・・・・・大丈夫?』


『大丈夫じゃないよぅ・・・・こんなときにそんなふうに言わないでよぅ』


かえって残酷なことをしていることに、男は気づかない。
罪悪感10%増量で別れるのは1週間先になるだろう。




自分勝手な妄想ロマンチストはこうなる。


『ごめん。でも、おれは君のこと一生忘れない。君に会えてよかった』


『だったら別れるなんていわないでよぅ』


『・・・・・・ごめん』


『いやだよぅ』


『・・・・・・ごめん』


残酷度30%増量である。
相手があきらめるまで謝るしかない。
出会ったころのマメさを思い出してがんばろう。




相手を裏切ってしまうことを正当化しようとするとこうなる。


『ごめん。でも俺は君にふさわしくないと思うんだ』


『・・・・・・・・・・・・・・・・・勝手なヤツ』


顔面パンチで済んだらよしとしよう。裏切ったんだから。




相手に同情しすぎるとこうなる。


『ごめん。でもずっと友達でいようよ』


『・・・・・・・・じゃあ、明日も会いに来ていい?』


友達だろ?


今なら間に合うぞ、聞こえるように小さな声で


『シマッタ』


と言え。
今だぞ。今しかないぞ。


言わなかったら別れるのに1年はかかるだろう。




遊んだだけだってことをやんわり言おうとする馬鹿正直者はこうだ。


『ごめん。とても楽しかったから、君も楽しんでると思ってた』


『・・・・・・・・コロス』


迷わず成仏してください。やんわりでも正直はダメ。




日ごろメンクイを自称している馬鹿はこうなる。


『ごめん。』


『それって、わたしがブスってこと?』


『いや、愛してないから』


『うそよ!わたしがブスだからだわ!』


決定的なことがぜんぜん伝わってません。
しかも、決定的なことが問題にもされていません。
ネタっぽいけど実話です。(自称メンクイの馬鹿って?)




『ごめんよ』


『いいのよ』


これだけで済む別れがこの世にいくつ存在するだろう。
これだけで済ますべき別れはこの世にいくつも存在するだろうのに。


わたしはこれが最も美しい別れの風景だと断言しよう。
悲哀が漂う大人の別れである。












しかし、男は意気地がないのでこうなる。


『だめだっやっぱり別れるのやめる。おまえいい女すぎっ』










まぁ、そうだろ。














『・・・・・・うぜぇよ』














まぁ、そうだろ。











☆最後にネタになってしまったことをお詫びします。:編集部